【小学生】不登校の原因がわからないとき、親ができること

「どうして学校に行きたくないの?」
何度聞いても、娘はただうつむいたままでした。
いじめでもない。病気でもない。
昨日まで笑っていたのに、突然「行きたくない」と言い出した朝。
理由がわからない──
それだけで、私はものすごく不安になりました。
もしかしたら、あなたも今、
同じように「原因の見えない不登校」に不安を抱えていませんか。
この記事では、不登校の中でも最も多いとされる「無気力・不安」を原因としたケースについて、
わが家の体験と、実際の統計データをもとにお話ししていきます。
不登校は、いまや“誰にでも起こり得ること”
『令和型不登校対応クイックマニュアル』(神村 栄一 編著)によれば、
令和4年度の小中学生の不登校は、およそ30万人。
これは、中学生の17人に1人、小学生では59人に1人が不登校だったということになります。
コロナ・パンデミックの影響が大きいのは言うまでもありませんが、
その影で「登校しても教室に入れない子」など、「隠れ不登校”**も増加。
しかも不登校は、コロナ以前から9年連続で増え続けていたのです。
──『令和型不登校対応クイックマニュアル』より
つまり、不登校はもはや「一部の家庭」や「特殊な事情」だけの話ではありません。
いつ、誰にでも起こり得る、ごく身近なことになっているのです。
不登校の原因で最も多いのは「無気力・不安」
文部科学省の調査(令和4年度)によると、
不登校の原因で最も多いのは**「無気力・不安(約51.8%)」**です。
主な不登校の原因(小中学生) | 割合(複数回答) |
---|---|
無気力・不安 | 約51.8% |
生活リズムの乱れ | 約11,4% |
いじめを除く友人関係をめぐる問題 | 約9.2% |
親子の関わり方 | 約7.4% |
出典: 文部科学省「和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」
いじめやトラブルが“ない”ように見えるからこそ、
親も本人も「なぜ?」と原因探しに苦しむケースが多いのです。
わが家の場合──原因不明の不登校
原因探しの日々
わが家でも、ある日突然「学校に行きたくない」と言われました。
きっかけらしいものが思い当たらず、私は戸惑い、焦りました。
- 友達とうまくいっていない?
- 勉強についていけない?
- 担任の先生と何かあった?
- 家での接し方に問題があった?
いろいろな可能性を考えては、検索して、リストにして──
とにかく原因を突き止めたくて、必死でした。
でも、どれもしっくりこない。
そしてある日、娘がぽつりとこう言いました。
「なんかわかんないけど、行きたくないだけ」
「それだけ?」と思わず言いそうになって、言葉を飲み込みました。
無気力は“本人にも説明できない不調”かもしれない
「無気力・不安」タイプの不登校は、原因がはっきりしないのが特徴です。
子ども自身も、何がイヤなのか、うまく説明できない。
大人からすると「理由がないのに行かないように見える」。
私も最初は、「嫌なことから逃げている」「怠けている」と思ってしまい、
逃げ癖、怠け癖がついてしまう…そんな気がしてなりませんでした。
でも本当は──
「理由を言語化できない」ほど心が疲れていたのかもしれません。
解決策は“問い詰めること”じゃなかった
「行けそう?」をやめた
私は最初、「原因さえわかれば、対処できる」と思っていました。
なので、毎朝、こう聞いていました。
- 「今日、行けそう?」
- 「何がイヤなの?」
- 「どうして?」
でもある日、それをやめて、
「行きたくなったら言って」とだけ伝えるようにしました。
私自身も、毎朝娘に確認して「◯時までに欠席連絡入れなきゃ」「行くの?行かないの?」と、常にモヤモヤして頭の中に入れていることが、辛くなってきました。
なので、いっそのこと辞めました。
「学校に行かない」ことを当たり前にした
学校に間に合う時間までに支度出来なかったら、欠席連絡をいれることにしました。
今はアプリで入力すればいいだけなので、気がラクです。
電話だったら負担になっていたと思います。
なかには、「行くときだけ連絡する」という対応をしている方もいらっしゃるようですね。
ご自身の負担の少ない方法を、先生とご相談されるといいと思います。
ー―例え欠席連絡を入れていても、本人が「行く」と言ったら、その時は学校に電話して送っていく、そう決めたら肩の荷が降りたような、ラクな気分になりました。
実際に、突然「今日、給食だけ行く。」と言って、登校した日もありました。
急な送迎で自分の昼休憩はつぶれてしまいましたが、
自分から外に出ようと思えたこと自体が、娘にとってはかなりのエネルギーを使ったと思います。
そんな日は必ず「頑張ったね」と声をかけました。
“理由がない”日々にも意味があると気づいた
学校に通っていない今
今、娘はまだ学校に通っていません。
それでも、笑う時間が増え、よく話すようになりました。
明確な“原因”は、今もわかりません。
けれど私は、こう思うようになりました。
原因がわからなくても、子どもは少しずつ前に進んでいると。
時折、娘を見ていて感じることがあります。
学校の制度が合わないという気づき
おそらく──
娘には、今の学校の制度が合わないのだと思います。
決められた時間に、決められた場所で座って話を聞く。
みんなと同じことをしなければならない。
私が「当たり前」だと思っていた学校のあり方は、
娘にとっては苦痛の場所だったのでしょう。
本人はただ「学校に行きたくない」としか言いませんが、
学校という場所そのものが合わない―
それが、娘の不登校の原因ではないかと、感じるようになったのです。
将来への不安と、本人の中にある“気づき”
好きなことを、好きな時にする。
誰だって、そんなふうに生きていきたいものです。
もちろん、それが決して楽な道のりではないことも、私は知っています。
だからこそ、このまま嫌なことから逃げ続けて、将来大丈夫なのか──
不安に駆られることもあります。
でも、本人もわかっているはずです。
今はまだはっきりと言葉にできなくても、
「このままではいけない」という感覚を持っていると、感じることがあります。
「受け入れる」という選択
不安や焦りは消えません。
それでも、「この子の人生なのだから、思うように生きればいい」
そう思えるようになってからは、娘の選択にイライラすることがなくなりました。
それは、放置や諦めではなく、**「受け入れる」**ということ。
娘の意思を尊重し、肯定するということです。
私だって、後悔と失敗だらけの人生を歩んできました。
娘だって、正解ばかりを選べるわけではありません。
軽い会話がつくる、ちょうどいい距離感
後悔のない人生なんて、きっと面白くない。
そう思うようになりました。
「思うように生きればいい。失敗したって大丈夫。やり直せばいい。ママはここにいるから」
そんな気持ちで接するように心がけたら、ふっと楽になったのです。
口に出すときは、あえて軽いノリで。
「いいんじゃない?好きにしたら〜?」
そんなふうに友達感覚で返すと、
「じゃあそうする〜」と娘も軽く返してくれ、表情が柔らかくなることもあります。
今のところ、娘とは“付かず離れず”のちょうどいい距離感を保てているかな、と思います。
原因を探すより、親が信じて受け入れれば、子どもは必ず自分のペースで前に進んでいきます。
下記の記事でも紹介しましたが、『ヴィジランテ』の中に出てくるセリフが、
とても印象的でした。
親がどれだけ心配しようが、子どもはいつか勝手に飛んでいくものです。
こちらにできるのはせいぜい、うまい落ち方を教えることぐらいですよ。
引用:アニメ『ヴィジランテ』第9話 ナックルダスターのセリフより
原因がわからない不登校に悩むあなたへ
不登校の原因がはっきりしないと、親はとても不安になります。
「何かがおかしいはず」「見逃していることがあるのでは?」と心が休まらない日々。
万が一、いじめにでもあっていたら?
不安で仕方がないですよね。
本当のことを言えないのかもしれない―。
でも、理由を問い詰めれば問い詰めるほど、子どもは心を閉ざして言った気がします。
もし、いじめや重大なトラブルの可能性が低いなら、
「充電期間」だと割り切ってみるのも一つの方法です。
- 仕事があって難しい
- 下の子が小さくて大変だよ
学校を休ませたくても、様々な障壁がありますよね。
そのお気持ち、よくわかります。
私がそうでしたから・・・
一日だけでも「今日は行かなくていい」と言ってみる。
それだけで、親の心も少し休まります。
まとめ
- 不登校の原因の最多は「無気力・不安(約51%)」
- 明確なきっかけがないケースが多く、本人も説明できないことがある
- 「原因を探す」より、「今の安心を整える」ことが回復の第一歩
- 何もしていないように見える日々にも、ちゃんと意味がある
最後に
「うちは原因がわからない不登校です」
──この一言を言えるようになるまで、私もすごく時間がかかりました。
でも今は、こう思います。
原因が見えないからこそ、
大事なのは“今を一緒に過ごす”ことだと。
今まさに悩んでいるあなたへ、
私の経験が少しでもお役に立てれば幸いです。
参考図書
『令和型不登校対応クイックマニュアル』
「令和型不登校対応クイックマニュアル」は、これまでの不登校とは異なる「原因がはっきりしない」「突然登校できなくなる」など、近年増加傾向にある新しいタイプの不登校(いわゆる“令和型不登校”)に焦点を当て、現場で即実践できる具体的な対応策を示した教職員・支援者向けマニュアルです。
―保護者向けというより、教育現場に携わる方に向けた本です。
具体的なケースを紹介し、考えうる原因や対応方法などが書かれています。
別の角度の視点から見ることができるので、新たな発見もありました。