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不登校の日々・体験記

【第7話】不登校の子どもが勉強しないように見える日々―親の不安と焦り

こはる

「このままで、勉強についていけなくなるんじゃ…」
不登校になったわが子は、毎日YouTubeやゲームばかり。
そんな姿に、焦りや不安がつのること、ありませんか?

私もそうでした。「何か学ばせなきゃ」「将来が心配」…
でも、ある出来事がきっかけで、
「学び方はひとつじゃない」と思えるようになったのです。

今回は、学校に行かない日々の中で見えてきた
**「新しい学びのかたち」**について、お話しします。


学校に行かない子が「勉強していない」と思える理由と親の不安

「何もしていない」と感じる焦り

学校に行かなくなってからの日々。
このままで大丈夫? と思いながらも、毎日のことで手いっぱい。

食事はとりあえずとっているし、病気で体調が悪いわけでもない。
だからこそ「何もしていない」と思えてしまう、なんとなく心でモヤモヤしている「不安」

このまま大人になって大丈夫?漢字も読めなくて恥ずかしい思いをするんじゃ?
そんな焦りばかりが独りで勝手に歩いていました。

授業の進度や周囲と比較してしまう心理

最初は「しばらく休んだら」と思えていたはずが、そのまま月日が流れると、どんどん進んでいく授業に不安を抱き、このままで大丈夫なんだろうか、と思うように。

子どものことを思っての事でもあり、そこに自分自身の不安や、社会的要素も加わって、
グルグルと心の壁を作っていったのです。

でもこれは、親の身勝手な心配だと、後に気づきました。
今でも、「将来大丈夫かな」という不安は完全には消えないのですが、
無理やりやらせようとしても身につかないことに気が付きました。

子ども自身が、「学びたい、やろう」と思って行動しなければ、何も意味がないことに後に気づきます。

そして、大人になってから、私はFPや簿記の取得など、自分に必要だと思うことを学びました。
いつしか、その行動が、子どもに対しても抱くようになったのです。

「必要だと思ったら、いつでも学ぶことはできる」

と―。
そこから、少しだけ勉強していないことに抱いていた不安が和らぎました。

子どもに見られた“自分で学ぶ力”の芽生え

動画やYouTubeから得た知識の共有

「ママ、知ってる?ウサギって歯が一生伸び続けるんだよ」

そんなふうに、動画で覚えた豆知識を、嬉しそうに話してくれる娘。
なんでそんなこと覚えてるの?というような内容まで、動画やテレビで観たことを教えてくれます。
私なら次の日には忘れてしまうようなことも。
興味のあることなら、どんどん吸収して、アウトプットしていました。

絵の描き方を動画で学んで、影の付け方や、お絵かきソフトの使い方なんかも教えてくれました。

好きなこと、自分にとって必要だと思った知識・技術は、自ら取りに行く様子が見て取れたのです。

木のテーブルでマスタード色の服を着た女の子が、隣のノートPCで再生中のチュートリアル動画を参考にしながらタブレットにデジタルイラストを描いている。背景には子どもの絵が飾られ、柔らかな午後の光が差し込む。
夢中で描く午後。静かな時間の中で、好きなことに向き合うひととき。

自ら学ぶ姿勢に気づく

誰かに言われたわけでもなく、自分から夢中になって取り組んでいたその姿に、私ははっとさせられました。

好きなことに向かっているときの集中力、覚える力、整理して伝えようとする力──
それらは、教科書の勉強とは違っても、**まぎれもなく「学ぶ力」**だったのです。

私はそこで初めて、
「この子は何もしていないんじゃない。ただ、やり方が違うだけなんだ」と、心から思えました。

無理にやらせようとしていた親の失敗と気づき

教材やアプリ探しに翻弄された日々

不安を少しでも埋めたくて、ありとあらゆる教材やアプリを探し回った時期がありました。

「これなら楽しく勉強できるかも」「これで少しは漢字を思い出せるかも」と、評判の良いものを片っ端から試す。

でも、肝心の本人はどれもピンと来ず、続かない。
親が頑張れば頑張るほど、どこか空回りしていくような感覚がありました。

これが、前述した「親の身勝手な心配」だと気付いたきっかけです。

ドリルを嫌がる子に気づいた“やらせる学び”の限界

せめて、将来のために漢字と四則演算だけでも、と小4の娘に、小2のドリルを買ってきて、国語と算数を一日1ページやってと言いました。

それでやってくれれば何の苦労もありません。

けれど、そんなの素直にやるわけもなく、ご褒美で釣ってみても、娘がドリルをやることはありませんでした。

私も日中は仕事をしているため、漢字は調べればわかるものの、算数を教える時間が取れませんでした。
そこで、自宅学習でドリルを行うことは断念しました。

やがて気づいたのは、

「やらせる学び」よりも、「やりたい」と思ったときに始める学びのほうが、ずっと続くし身につくということです。

何かを与えるのではなく、子どもが何を見て、何に反応しているかを見守る。
その視点の転換が、親である私自身の気持ちをも楽にしてくれました。

「なにもやっていない」のではなく、「やり方が違う」だけ

指示を受けて勉強するような学び方はしていないかもしれません。

でも、娘なりに、興味を持ったことを自分で調べて、手を動かして、まとめて、誰かに伝えようとしている。

その姿は、まさに「自ら学ぶ力」を実践しているようでした。
特に、その力を感じる出来事がありました。

ゲームを買うためのプレゼンで育った“伝える力”

きっかけは「欲しいゲーム」

そして、ある日のこと。
娘が「このゲームが欲しい」と言ってきた時のことです。

誕生日もクリスマスも近くない。
かといってご褒美で買ってあげられるほど、何かを頑張ったわけでもない。

けれど、頭ごなしにダメだと否定するのは違うと思い、まずは娘の意見を聞くことにしました。

娘のプレゼンから始まったIT活用

「どうしてそれが欲しいの?それを買ったら、どんないいことがあるの?」

私は娘に問いかけました。
娘は、動画で見て楽しそうだった時間つぶしになるからと、自分にとってのメリットだけを述べました。

そこで私は言いました。

それじゃママは財布を開かないよ。なぜ、そのゲームが欲しいのか、それを買ったらどんないいことがあるのか、ママにプレゼンしてごらん。」

「ママがお金を出してもいいなって思うような理由を、そのゲームにお金を払うだけの価値があるということをちゃんと考えて説明してごらん」

「ChatGPTを使って相談してもいいよ」と伝えると、娘の目が変わりました。

翌日持ってきたのは、10枚にわたるプレゼン資料。

Canva×AIで作り上げた10枚の資料──その価値とは

文章のほとんどは、AIが書いたものをそのまま貼り付けているだけのようでした。
内容だけ見たら、本人の言葉がないので、落第点です。

でも、

  • 調べる力
  • コピー・ペーストする技術
  • 画像を差し込む技術
  • フォントやデザインの工夫

これからを生きる子どもにとって、ITリテラシーやAIの活用技術は必要不可欠だと考えていた私にとっては、この経験はとても価値があると思いました。

そして、そこには彼女の“本気”が詰まっていました。

  • 情報を集める
  • どう伝えれば説得力があるか考える
  • Canvaを使って見やすいデザインにする
  • 順序だてて、資料としてまとめる

この経験を通して私は、

「ただ欲しい」と言うだけでなく、「どう伝えたら納得してもらえるか」を考える力が育ってきていることに気づいたのです。

遊び心の先にあった、情報収集・論理構成・説得力

戦略、構成、表現、工夫、信頼性。

どれも大人になってからも必要な力ばかり。

きっと本人は“遊びたい”という気持ちから始まったことだったと思います。
でも、その先には、「学び」の芽がたしかにありました。

これもまた、「学校に行かなくても育つ力」の一つ。

私はこのプレゼンを見て、迷わずゲームを購入しました。

それは、その内容をみてこのゲームが必要だと思ったからではなく、
この資料を完成させるまでの過程が、娘にとって価値のある行動だと判断したので、
その結果、ゲームという報酬を与えることにしたのです。

子どもが自信を持てる“安心できる家庭環境”づくり

今思えば、私が焦っていた時期は、娘もどこかピリピリしていたように思います。

「早く戻ってほしい」「何かしなきゃ」と、私が言葉に出さずとも発していた“空気”が、無言のプレッシャーになっていたのかもしれません。

でも、「やりたいことがあるなら、やってごらん」と、受け止めるスタンスに切り替えてから、少しずつ娘の行動が変わっていきました。

気づけば、自分から動画を見て知識を仕入れたり、好きなテーマでノートを作ってみたり、プレゼンを考えてみたり。

子どもが好奇心を広げていけるのは、「否定されない」場所があるからこそなんだと、今ならわかります。

「大丈夫だよ」「それでいいよ」と言ってもらえる安心感が、挑戦する力に変わっていく──
それは、学校という場所だけではなく、家でもつくれるのだと思います。

ソファに座ってiPadを使う女の子と、それを見守る母親。
背景には子どもが描いた絵と、グレーのうさぎのぬいぐるみが置かれている。
柔らかな光が差し込む室内で、安心できる家庭の空気が描かれている。
「大丈夫」の空気が伝わる午後。
自分らしく過ごせる場所が、学びの芽を育てていく。

「学び方が違うだけ」──親がそう思えるまでのプロセス

不安が消えたわけではありません。

周りの子と比べてしまいそうになる日も、焦る瞬間も、まだあります。

でも、娘の言葉や姿から、「成長していないわけじゃない」と気づけるようになったのは、大きな変化でした。

  • 自分の好きなことに夢中になれる力
  • 誰かの気持ちを想像して、説得しようとする力
  • 「誰かに与えられるのを待つ」のではなく、「自分から調べて行動する」力

これらは、学校の成績では測れないけれど、人生を生きていくうえで、確実に大切な“学び”だと思います。

学校に行かなくても学びはある──親が信じることの大切さ

学校に行かない子は、「学ばない子」ではありません。
好きなこと、夢中になれることの中に、ちゃんと学びはあります。

だからこそ、焦らず、比べず。
「違う学び方」を信じてあげてください。

それが、子どもの未来につながる“今”になりますように。

ABOUT ME
管理人(こはる)
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実はせっかち管理人
小2と小6の子を持つ、シングルマザーです。 上の子は不登校3年目。親子でのんびり歩いています。 最近の楽しみは、子どもと一緒にアニメを観ること。上の子の影響で音ゲーにもハマりつつあります。 毎週金曜日更新。
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